[コメント] ふりむいた花嫁(1961/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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頑固親父の伴淳三郎、娘の倍賞千恵子に敵に回られ雲行き悪く、三井や山本に頭下げる羽目に陥り、淡島千景のこの仲介がいいのか悪いのか、仕舞には彼女にまで振られてしまう。
この、古い男を古いやり方から遠ざけ続ける辛辣な展開に、伴淳は恥を忍んで頭下げ道化になって耐え続ける。家長の権威など遠い昔の夢物語、同時代の親爺たちはこのような体験を強いられただろう。この時代の転換に男一匹立ち向かう伴淳の姿は格好いい。
全てを諦めどじょう屋の株式会社化を宣言する寂しさよ。邦画凋落の始まった60年代、息子の成功をテレビで眺めさせるのはカツドウヤの悲哀も込められているのだろう。淡島・倍賞押しのけて千之赫子ばかりが魅力的だったのも、このラストに参画するためだったのだった。
全く、あの阿呆みたいな山本に娘を持っていかれる情けなさは激しいものがある。ちょっと狙い過ぎのホンかも知れないが、この情けなさをリアルに定着させた伴淳の緩急心得た名演で厭らしさはどこにもない。伴淳すごい。この人が真面目になると場の空気を一変させてしまう。当時、主演作が多いのも納得の技量の高さ。
ギャグは地味だなあ。大泉滉辺りがもう少し笑いを取ってくれたら云うことなしなんだけど。あと、タイトルは何なのだろう。倍賞は全然伴淳をふりむいてないが。番匠『抱かれた花嫁』に続くプチ・シリーズというぐらいのことなのだろうか。もちろん、倍賞が冷たい印象なのも演出意図だけど。
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