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[コメント] 競泳選手ジャン・タリス(1931/仏)

ジャン・タリスは1932年ロサンゼルス・オリンピックの400メートル自由形で銀メダリストになった選手のようだ。本作はスポンサー企業がらみの宣伝映画だろうか(調べた限り、そんなエビデンスは見当たりませんが)。
ゑぎ

 選手の個性(多分ユーモアを解する人)を映すこと、水泳という競技(あるいは泳法)を分解して見せることが図られている。しかし、同時に映画らしいトリッキーな技法がこれでもかと試されている作品だ。国内外の主要サイトはことごとく本作をドキュメンタリー映画に分類しているけれど、私にはとても違和感がある。

 冒頭からクロールで泳ぐ選手の引いた俯瞰ショット(ロングショット)は、微速度撮影(早回し)、アップは高速度撮影(スローモーション)、だ。それを交互に繋ぐ。バタ足のアップや息継ぎする頭部のアップを超スローモーションで撮影して挿入する。水中から選手が水面を飛び出してジャンプし、プールサイドに着地するという、つまり、飛び込みの逆回転なんてこともする(3回ほど反復する)。はては、水着姿から、正装した(コートと山高帽)姿にディゾルブし、さらにプールの水面を歩行させる二重露光で締めるのだ。あと、もう一つ特記しておきたいのは、水中撮影のシーンがあることで、結果的に、本作が3年後の『アタラント号』の準備作になったということは間違いない。

(評価:★3)

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