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[コメント] パシフィック・リム:アップライジング(2018/米)

蛇足続編の典型例。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ギレルモ・デル・トロによる傑作SFロボット作品『パシフィック・リム』(2013)から5年。待望の続編が登場した。

 ただ、「待望の」と一応書いたが、実は全く待ってなかったというのが正直な感想でもある。

 一作目の時はなんと言っても、「デル・トロがロボットかよ!上がるなあ!おい!」というノリで、しかも出来たものが予想していたよりも素晴らしくて嬉しすぎる!と言う作品だった。

 だが、あれは一本で充分。あの時の正直な感想は、仮に続いたとしても、あそこまでの出来は期待できない。あれはこれまで誰も作ってこなかったもので、デル・トロだからこそ許される、特権的な作品だったのだ。他の人が作っても、あれ以上には出来ない。

 そして出来たものはまさしく出涸らしそのもの。

 観る時間と金を無駄にしたとは言わないけど、せいぜい「特撮ファンとして税金を払った」と言った感じだろうか?

 せめて続編だから許されるいくつかの裏技を使ってくれれば、それなりに評価も出来るのだが、それすらなかったので、するっと観て終わった感じだ。

 それでも良い部分はいくつかはあった。

 デナイト監督はかなり日本のサブカルチャーには造詣が深いということを感じさせたのが最大だろう。物語の構造や構図の取り方など、アニメや特撮から相当の影響が見える。

 特に感じられるのが、永井豪作品のアニメ演出だろう。巨大な敵とイェーガー部隊が戦うシーンなんて、「ゲッターロボ」ノリだし、出撃シーンは「グレンダイザー」っぽさを強調してケレン味たっぷり。この辺は東宝特撮リスペクトのデル・トロ演出に対する東映リスペクトの逆襲って感じで結構観ていて楽しい。

 それと日本を舞台にして、都市が敢えて富士山の近く、しかも富士山が活火山という、これ又特撮ファンにはにやつける部分がある。

 一応そこを評価しておこう。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク[*]

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