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[コメント] となりの怪物くん(2018/日)

主役の菅田将暉が良い感じで演じている。これから見るのなら『賭けグルイ』の池田エライザ浜辺美波の脇役演技を楽しむという対比の妙もある。でも、「映画」として普通に見る分には、脚本(ストーリー)に不満がある。
ロープブレーク

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ガリ勉のシズクが、トンパチなハルと出会う。意外にもハルは賢くて成績は学年トップであることが早々に明かされる。この冒頭シーンまでは良い。賢い彼女と馬鹿な彼氏という安易な組合せの否定は好ましい。でも、天賦の才能に嫉妬していたハルの兄の幼少期と、同じ感情をシズクが爆発させてしまうことで二人の関係が破綻してからの修復が、時の経過だけだっていうのはいただけない。一度も自分の視座を手放すことのできなかった自己中女のシズクが「自己中を乗り越えて他人の視座を手に入れる成長譚」を、たとえ紋切り型であろうとストーリーに組み込むべきではなかっただろうか。

自己中女が、酷いこと言ったけどやっぱりハルが好きだから謝っとこうというのでは、自己中ぶりは直らない。当然、ヨリが戻るはずはない。だが、映画では、時間が経ちました、でヨリが戻って結婚してしまうんですよ。これでは早晩離婚必至だろう。

恋愛は、他者の視座の獲得無しで思い込みだけで突っ走ることが可能だが、そんな恋愛を幸せな家庭に昇華させるのは不可能だぞ、とオッサンなのに老婆心全開で忠告したくなった。

ハルの兄貴(古川雄輝←深掘りされない)とか夏目(池田エライザ←振られるだけ )とか大島(浜辺美波←振られる前に諦める)とか脇も含め誰も他者の視座の獲得に至らないってストーリーにはまったく乗れないなあ。今の若い人の恋愛はみんなそんなのなのかなあ。恋愛って他者の視座の獲得の最初のドミノに最適なのに。自己中肯定型の恋愛結婚は誰も幸せにしないよ。これじゃあ皇室の危機もやむなしか(←これは暴言)。

(評価:★3)

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