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[コメント] 牛乳屋フランキー(1956/日)

一番すごいのは…
地平線のドーリア

フランキーの一人二役をどう見せているか、ということ。

六平太とじいちゃんの芝居を最初は、吹替えと本人のカットバックで見せているが、じいちゃんが状況してからの牛乳店や、南郷家での芝居では、同一カット内に二人がしばしば顔が見える形で映る。 早い話が、左側と右側で二人を分けて、この時代だからCGではなく、オプチカルで処理しているのだが、これがすごい。芝居も両者が掛け合いになるのだが、淀み無く展開する。

これは目線とか、芝居の間とか、結構高度な現場テクニックが必要なのだ。

例えば、黒沢清の『ドッペルゲンガー』がある。レンタルのDVDでも、メイキングがあるから見て頂きたいが、現代でも結構大変なのだ。

それをこの時代に、このクオリティーでやったことは、もっと評価されていい。 しかし、今となっては、大した事ではないということで、そんなに注目もされないのだろう。 残念なことだ。

それにしても、かつて日本映画でこれほどまでに、自覚的にフザケた映画があったろうか。 明らかに、松竹の喜劇の影響がうかがえるが、ここまで露悪的になっていない。 シャレといえばシャレだが、やり過ぎと言われても仕方がない。 やはり、中平康はただ者ではなかった。

(評価:★5)

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