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[コメント] フィラデルフィア物語(1940/米)

キャサリン・ヘプバーンの「ざあます口調」だけで、とりあえずご飯3杯分くらい笑える。
ぐるぐる

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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この味わいは、後年のリメイクでのグレース・ケリーのさすがの美貌を持ってしても替えがたい。

1939年ごろから太平洋戦争が始めるまで2〜3年の間というのは、ハリウッドが成熟し、しかも同時にまだ充分な若さもあり、活気に満ちて数多くの傑作を輩出した、映画にとってなんとも幸福な時代だったように思うけれど、この作品も、そうした時代ならではの総合的な充実感にあふれている。

脚本、演出、美術、音楽など、どれも最上のレベルのプロダクションだと思うが、深みのあるモノクロ時代のジョゼフ・ルッテンバーグの撮影には特に惹かれる。

しかし、男優のキャスティングも、第一候補だったというクラーク・ゲーブルスペンサー・トレーシーでなくて本当に良かった。

だって、ゴシップ誌の取材に協力する理由が、実はかつての義父母をスキャンダルから守るためだったという「ダンディズム」はケイリー・グラントにこそふさわしい。グラントは、この作品で当時として破格の10万ドルのギャラを要求し、それを受け取ると全額を故国英国の戦争基金に寄付したという。上流階級をなめたようなアクセントもピッタリだし。それに対するジェームズ・スチュワート(やルース・ハッシー)の「一般ピープルぶり」もはまり役でしょう。

まあ、あたりかまわずタバコを吸いまくり、飲酒運転日常、暴力上等DV無罪、浮気はオトコの甲斐性、戦争となれば率先して寄付、って、70年前の欧米紳士って、現代だったら完全な「???」野郎ですけどね。

(評価:★5)

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