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[コメント] 日本ゲリラ時代(1968/日)

らしいホンで意欲的なんだけど演出が『全員集合』では仕方がない。森崎が撮ったらさぞかしいい映画になっただろうにと残念。見処は紅魔子と名乗る緑魔子の筏上でのパンチラと渥美清が泣きながら歌う「鐘の鳴る丘」。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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血税一揆から日露戦争の逃亡、第二次大戦の徴兵逃れという歴史がベトナム戦争の良心的徴兵拒否に重ね合わされ、本邦のこととして見ようとする主題。なべおさみの亡命元は「清国」と云われ、国旗も出鱈目だが、「玄界灘を挟んで」という科白で韓国のことだと判る(韓国軍事政権はベトナムに参戦している)。

しかし、ヒッピーと別れるなべの顚末は何かよく判らないし、この主題と関係がない、緑魔子がフリーセックスに参加するしないという件が延々引っ張られるのもよく判らない。犬塚弘は大好きな俳優なんだけど、冒頭で渥美が振りまく迫力に以降負けちゃっている。俳優の並べ方としてよろしくこれはなかろう。彼の出入り参加も含め、終盤の闇鍋状態は森崎の得意技なのだが、それぞれが主題に向けて機能していないように見える。全体に対話シーンに工夫が見えず喋っているだけに見え、ラストの三人が別れ別れなカットも全然撮る気なさそうでお仕事モード。

さらに本作最大の弱点は、フーテン連中に全然魅力がないことだろう。フリーセックスも孤島でのダンスも、エキストラが演っている以上のものが何もない。これを理想郷として描くべき映画だろうに。上記の筏からの船舶乗っ取りの件のみ、何とかなっている。なお、ヒッピーが無人島を占拠するだけで何も戦闘しないのに彼等を「ゲリラ」と呼ぶのは、当時は正しかったのだろうか。

(評価:★3)

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