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[コメント] 家光と彦左(1941/日)

まず彦佐を演じる古川緑波の芸達者ぶりが圧巻!当時、緑波38歳。これが38歳の役者だと誰が思えよう。また、緑波の演技を受ける家光・長谷川一夫のリアクション演技も絶妙だ。大感動。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 九州・島津へ一人でも赴くと言い張る彦佐を家光が「ならんならん」と言いながら扇子で打擲するシーンでは涙が止まらなくなってしまった。長谷川一夫も巧い巧い。また、家光謀殺を企てる本多上野介役の清川荘司の迫力も凄い。いや、清川荘司に対する照明(暗がりに浮かび上がる顔)と、寄りのカッティングが凄いのだ。

 また、美術の中古智も撮影の伊藤武夫も素晴らしい仕事ぶり。このような贅沢な映画は二度と作られないことを痛感してしまう。千代田城内のセットも宇都宮で瓦解する建物も良いし、日光参詣の行列シーンの縦構図なんてワンカットの為だけにいくら金を使ったのだろうという贅沢さ。

 ラストにもう一ひねり欲しかったという気はするが、この美しい映画の時間をまとめ上げたマキノの演出は本当に素晴らしいと思う。千代田城内での事務作業を横移動で見せるカットのような何でもないカットでも、見事に映画の時間が息づいている。とってつけたような富士山の登場こそ「映画」ではないか。大感動。

(評価:★5)

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