[コメント] 花婿、女優、そしてヒモ(1968/独)
『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』の次作にあたるストローブの短編作品。ユイレは共同製作及び共同編集を務めている。明確な三部構成だ。若きファスビンダー、イルム・ヘルマン、ハンナ・シグラを見ることができる。
最初のパートは、走行する自動車の右車窓から夜の街路を延々と撮ったワンカット映像で、夜なので暗くて分かりづらいが、右車線を走る車や、道路脇の看板などと共に、時折りポツンと立っていると「立ちんぼ」の女性(街娼)が映る。開巻しばらく無音の映像だが、2分ほど経ってバッハの長調のメロディが入る。
第二部は演劇の舞台を少し離れた(演者はフルショットよりは少しだけ遠いロングショットの)、向かって左側客席から撮った固定のワンカット。演者の顔はよく分からないが、ベストを着たライナー・ヴェルナー・ファスビンダーはよく分かる。背の高い女性はイルム・ヘルマンで、小さなエプロンをして登場するのは、これが映画デビューのハンナ・シグラだろう。
最後のパートは先の2つのパートに比べれば普通の劇映画の作りだが、そのクォリティは普通ではないと云うべきだ。特に、広大な農場の遠い向こうに自動車を小さく出現させ、右から左に画面奥を走り、画面左を奥から手前まで進んで来る待ちポジションのショットが素晴らしい。続いてファスビンダーが再登場し、呆気なく突き放された後のラストショット、この緩やかなドリー前進移動も間然するところのない演出だ。
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