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[コメント] 花婿、女優、そしてヒモ(1968/独)

風景描写(初)、演劇(初)及び劇映画から成る短編。ストローブ=ユイレ映画のショーケースで、その後ふたりは劇映画を殆ど捨てて風景と舞台に傾注するのだった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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冒頭、クルマからの延々たる車窓の風景が登場。『歴史の授業』や『早すぎる、遅すぎる』、船からの『ジャン・ブリガールの肖像』などで全面展開される手法。ここでは夜中なのでイマイチ地味だがESSOの看板など愉しめる。無音からとつぜん音楽が鳴り出す音楽の使い方がゴダールっぽくて格好いい。コルネットが高らかに鳴るバッハっぽい明るい曲で、夜の街で聴く音楽としては異例、奇妙なアンサンブルがあった。

男女の舞台は再び「圧縮再構成」もので意味は取れず、俳優が舞台に出たり入ったりのベケットの順列組合せのよう。呆気に取られていると終わる。原作は戯曲「青春の病」とのこと。舞台美術はクールで、あのドイツ語は何と書いてあるのだろう。

最後は普通の劇映画。黒人の花婿と白人の女優が結婚式を挙げ、女優は実に唐突にヒモを射殺して詩を唱える。先のふたつの件が緩慢なリズムだったのに対して、ここは激しいスピード感がある。最後の窓の外の樹木がストローブ=ユイレらしい画の事始め。本作の夜の闇を抜け、自然の賛美がここから始まる。

(評価:★4)

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