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[コメント] 乱死怒町より愛を吐いて(2015/日)

公開直後の初見時には酷い愚作と思ったが、コロナ禍で見直すと、登場人物の愚鈍さや判断停止、主人公の感情のない棒読み的な話し方や、ストーリーの無軌道さ、無節操な死などが、今の日本の写実を超えた戯画として思えてくる。島田角栄は、日本の行く末を見通していたのかもしれない。(褒めすぎ注意)
ロープブレーク

ただし、本作の評価は島田角栄監督の傑作『デストロイ・ビシャス』と比べてしまうと数段落ちるものであることは否めない。

本作を★4とすると『デストロイ・ビシャス』は★7である。★は5が最高なので『デストロイ・ビシャス』は★5にしたが、これを基準にすると本作は★2になってしまう。「褒めすぎ注意」と書いたのはそういう意味です。

また、この監督は演出を台詞として機能させるクセがあり、しかもそれをわかりやすく説明しようという意識に欠けているので、排他的になってしまう。

たとえば、本作の主人公の女の台詞の棒読みは感情の抑圧であると気づかせる仕方が下手。これを独特の世界観などと言ってしまうと監督を甘やかすことになってしまうが、下手だと切って捨ててしまうにはもったいないものも持っているのは事実だと思う。

そういうわけで、いきなり本作を見ることは絶対にオススメしません。MCU作品を一本も観ずに『アベンジャーズ・エンドゲーム』を最初に観るような不毛な映画体験になってしまう恐れがあります。

島田角栄作品初見ならば、どうか、ぜひ傑作『デストロイ・ビシャス』をご覧になってから本作をみてください。『デストロイ・ビシャス』がダメだったら、本作は生理的に合わないと思うのです。

少しおせっかいなレビューになってしまい、申し訳ありませんでした。

(評価:★4)

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