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[コメント] ゴッズ・オウン・カントリー(2017/英)

同性愛の性描写はあからさまではあるが、映画冒頭のやさぐれジョニーのそれは単なる「排泄」だが、ゲオルゲとの関係が深まるにつれ、セックスは相手をいつくしむものへ変わっていく。
jollyjoker

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作での性描写は関係性の変化をうまく扱っており、成功しているのではないか。ベッドでジョニーが「ルーマニア語で羊はなんていうの?」「〇〇は?」などと聞いてゆくシーンでは二人の関係が深まり安心と満足感を表現するシーンであり素晴らしい。ジョニーの母親は家族を捨て家を出てゆき、残された祖母と体の不自由な父の間で、家族としての居場所がなかったジョニーが、大切にされ愛し愛されてゆく様が痛いほどささる。閉じていた心が、ゲオルゲの出現で徐々にほどけてゆき、希望を見つけ前進していこうとする姿がまぶしくもある。

出産後すぐに死亡してしまった子羊の皮を剥ぎ、それを別の子羊にまとわせ、母羊の乳を飲ませるゲオルグ。生きる術と、本当の母親でなくても子羊を育てることはできるという示唆ともとれるのだ。性別・人種・年齢などにかかわらず、人を愛し大切に関係を築いていくことを、この神の土地でできる二人に希望を見た。

やがて閉鎖的な田舎の村でこの二人が偏見と差別にさらされることは明らかだろうが、希望に満ちたエンディングはそれが杞憂に終わることと感じさせた。

(評価:★4)

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