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[コメント] ホイットニー 〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜(2018/英)

白鳥は優雅に見えても、水の中では必死に足をバタつかせている、というが、今回はその見えない「水の深さ」が恐ろしいくらいに深かった。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







80年代にホイットニーのヒットソングに慣れ親しんだ世代の私としては、判ってはいたものの、後半の転落人生は目を覆いたくなるものだった。なんとなくボビーと結婚してからの荒んだ生活、という印象だったが、もうそれ以前に、いや生まれた時から「業」を抱えていたんだと判った。

まずは「躍進期」は、見ていてやっぱり気持ちいい。ヒットソングも次々に登場し、純粋に彼女の美声に癒されていた。しかしもうその頃から、「薬物」はメインテーマになっていた。日本でも手に入れたって?マジかよ。

そして彼女の「取り巻き」が支えながら、足を引っ張っていた。とくに「父親」はこの映画の中ではかなり強欲に描かれている。

そして「円熟期」。トップに立ちながらも、やはり新しいスターたちに苛立つみたいで、ジャネットやポーラ・アブドゥルに対して悪態ついたり。さらには「whity!」とブーイングを受けたり、順風満帆ではなかったが、「国歌斉唱」はやはり伝説だったし、そして『ボディガード』がやはり凄かった。

そして「転落期」。ボビーとの結婚、そして出産、移籍、訴訟、薬物依存、ライブの失敗、すべてが裏目。ただ歌って、レコードを出して、ライブをしていれば、それなりに安定して生活は約束されていただろうに、それができなかった、叶わなかったのは悲劇だが、自業自得だろう。

その途中には、きっといくつかの「もしも」があったのかもしてないが、何となく一つの「もしも」を避けられても、きっと別のもしもで悪い道を選んでしまったんじゃないかと思う。

そしてなにより「薬物」。やっぱりいまさら言うまでもなく「恐ろしい」ものだ。最近みる、若くして亡くなった実在の人物を描いた映画の人物は、やっぱり「薬物」が関わっている場合が多いきがする。もちろんそんな有名人は大勢いて、みんな失敗して、でもそこから立ち直っているひともきっと大勢いて、でもそれができなかったホイットニー。そして2012年2月11日。今から7年前に、浴槽で48歳の生涯を閉じた。

こんかい、この映画はホイットニーの近しい人にインタビューを試みている。母親のシシー、弟のゲイリー、その妻パット、元恋人、実際のボディーガード。そしてケビン・コシナーへも。もちろんボビーにもだが、「薬物」に関してはほとんど何も語らなかったみたいだが、それでもよくインタビューに応じたと思う。ホイットニーの人生を語るうえで「悪役」にされかねないのに。

終盤に薬物に手を染める「きっかけ?」として、少女時代の性的虐待が挙げられていた。そうかもしれないが、これ必要だったかな?「実名出していた」のは衝撃だった。

ひとつ残念だったのが、きっと「最重要人物」のひとりに違いないロビン・クロフォードのインタビューがなかった。一番ホイットニーの身近にいた人物。結局依頼したが断られたみたいだが、ロビンの目線から見たホイットニーがどうだったのか?とても興味があります。家族からは疎まれていたみたいだが、ホイットニーの「親友(以上?)」の話次第では、まったく違うストーリーになったかもしれないし、ボビーと結婚せず、そしてずっとロビンがそばにいたなら、いまもホイットニーは、美声を私たちに届けていたんじゃないだろうか? ちょっとだけそう感じました。

(評価:★3)

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