[コメント] スカイスクレイパー(2018/米)
2019.6.9
トランプ政権の強硬な対外政策は、特に中国に対して強く向けられており、関税強化のみならずファーウェイへの輸出規制という事態にまで発展している。直接・間接に中国のスマートフォンメーカーに素材を提供している日本の製造業も例外なくこの摩擦に巻き込まれ、景況感の悪化は深刻だ。影響はおそらく日本だけではなく、世界の経済は当面低空飛行に陥るのではないかという予感を多くの人が持っているのではないかと思う。
映画界においては「ミッションインポッシブル」シリーズへの資本投下ぶりや、「2012」や「ゼロ・グラビティ」における露骨に中国へ日和った演出からもうかがえるとおり今や中国市場を無視しては通れない。この映画の冒頭クレジットからは中国の資本が読み取れなかった(エンドロールに電通やフジテレビの名前は見えた)が、舞台が中国でそのハイテクぶりをいかんなく見せつけるあたり、もはやハリウッドも中国という市場巨大を重視せざるを得ない事も映画ファンならひしひしと感じていると思う。
トランプ政権の思惑に乗ってファーウェイへの Android OS を出荷停止したグーグルも「安全保障上の影響」を懸念している(2019.6.7のニュース)ように見せてその実はスマートフォン市場において大きな勢力となっているファーウェイとの商売に未練たらたらの様子が見え隠れしている(と思う)。
米国は中国の産業空洞化を狙っており、実際多くの会社が対米関税を恐れて製造拠点をベトナム・インドネシア・タイなどに一斉に移行しているが、一方で米国は輸出国でもあって、成長潜在力の高い市場としての中国を喪失するのは大いに痛手であろうと思う。
さて、この勝負はどちらに転ぶのか、あるいはみんな損をして終わるのか、映画ばりの展開に面白がってばかりもいられないのだが、誰も得しないような気がしてならない。
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