[コメント] 秘話ノルマントン號事件 假面の舞踏(1943/日)
不平等条約の悲憤慷慨は徳大寺伸の逆さ八の字眉毛とともに坊主難けりゃ式に仮面舞踏会襲撃に至る直情径行。「あの日を忍んで五十余年」とイギリス国旗踏みつぶすに至る国策映画っぷり。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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天晴としか云いようがない。不平等条約の解消は国際社会に多様性を築き上げるものだった、という自画自賛でいいのではないでしょうか、などと云っても当時の松竹には虚しいのだろう(本作は情報局映画ではない模様)。油井宗信の中国人が明治19年にすでに下僕扱いで登場するのも虚しい。
ただ、本邦においては沖縄基地問題などで、まだ不平等条約はまかり通っているのであり、昔話で済ませる訳にいかないものがある、という気付きを与えてくれる点では、よい映画と云ってもいいと思った。
映画は冒頭のよく判らない三井秀男のドタバタなど存外よく撮れており(肝心の船沈没はショボイが)、クライマックスの汽車を追う馬など、監督が撮りたいのは西部劇だとお里を明らかにしているのが愉しい。作劇上は三宅邦子(河野敏子)のウラギリに意外性があって良かった。なお、オッペケペー節(川上音二郎か)が聞けるのは余得だが、彼は金持ち批判もわんさと歌ったのであり、対外批判だけ演った訳ではない。
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