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[コメント] アガサ・クリスティー ねじれた家(2017/英)

本格推理というよりは、ハードボイルド。なので、探偵は事件解決に殆んど機能せず、ほゞ調査の状況を伝える役割にとどまる。だが探偵役マックス・アイアンズの雰囲気は悪くない。愛車は『ファントム・スレッド』のダニエル・デイ=ルイスと同じブリストル405。
ゑぎ

 全体に雰囲気づくりは立派で、美術装置と衣装も、とても見応えがある。レオニデス邸の外観と豪華な内装。沢山の絵画。肖像画の映画として、被害者である死んだ主人と、若い後妻、クリスティナ・ヘンドリックスの肖像画が印象的に使われる。

 ヒロイン、事件の依頼人はステファニー・マーティーニ。当然ながら(ハードボイルド探偵モノなのだから)、この人も美しい。探偵とは以前、カイロで関係があったという設定で、カイロ時代の様子も、フラッシュバックで少しだけ見せるが、こゝをケチらず、もっと良いシーンにして欲しかったとも思う。そして、一番のビッグネームである、グレン・クローズは、登場からモグラをライフルで撃っている、という異様な扱い。ちょっとキワモノ狙いが過ぎるか。もう一人、ジュリアン・サンズは、逆にもうちょっと活躍してほしかった。また、サンズの末娘のノートの扱いは、流石にどうかと思うが、全体に喜劇色を強めれば、こういう荒っぽいプロットも許容できるし、エンディングとのギャップが強調され、ブラックコメディの傑作になったかもしれないと思った。

 あと、ドリーの緩やかな前進後退移動をためすカットが多いが、例えば、二人の人物のフルショットで、ゆっくりと前進移動をし始め、そのまゝ寄り切らずに、すぐにバストショットの切り返しを入れる、といった繋ぎが何度か見られる。これは、寸止めのように感じられ、フラストレーションがたまった。

(評価:★3)

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