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[コメント] キングダム(2019/日)

漫画からのファンですが、これが何冊分の作品なのか考えると改めてこのシリーズのスケールの大きさを実感します。
deenity

**ネタバレ注意**
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原作からのファンなので正直イメージの問題とかもあったのだけど殊の外評判が良いようなので鑑賞してきました。

やはりキングダムと言えばあのスケール感をどう描くかというのが非常に重要なポイントになってくるんですよね。原作ではやはり中華統一に向けた壮大なスケールの物語ですし、それぞれのキャラクターの背景だってありますし。結局それを知ってる前提で描いたらそれはそれで卑怯ですし。

本作は秦王兄弟の争いなので漫画で言えば5巻程度の内容なんですよね。ファンからすればもっと先も見たい気もして、だけど見てみると5巻分で十分映画一本いけるな、ってことも実感し、改めて原作の凄さに唖然とするばかりなわけですが、このシリーズのやはり見所となるのは戦闘シーンなわけです。 本作の内容ではおよそ8万の兵が用意されて呂不韋を討つために盤石の体制で待ち構えていたわけですが、実際その数のぶつかり合いがあるわけでもなく、王都奪還のために少数精鋭で乗り込んでいくシーンなのでスケールだけで言えばキングダムならではの壮大な戦闘シーンが見られるわけではありません。

そのためある意味ではそこを避けた作りになっているので、おそらく日本の技術レベルでは難しい戦闘シーンの迫力ってのは大規模なものではなく、細かい殺陣に焦点を当てて見ることができるのが本作の評判として功を奏したのかもしれません。 この評判ならば続編も!という声もありそうなので、いざ続編を作るとならば大規模な戦は避けられないポイント。それをどう表現するかが課題となってきそうな気もします。

話は戻りますが、要は細かい殺陣の迫力に力を注げばよかったわけで、その辺りは日本は『るろうに剣心』の成功例がありますからね。佐藤健くんではないですが、山崎賢人も負けず劣らずの殺陣シーンを見せてくれます。いい具合のしゃがれ声とおとぼけ感がどことなく信らしさがあって良かったですね。

本作は大人気作品なのでその分ファンも多く、イメージを崩してしまうと観客の心は掴めません。しかしそれでも評価が高いのは、できるクオリティを最大限に生かす配役がなされたからだと思います。誰がよかったかと言われると難しいですが、逆に誰が外れてましたか?と問われても特に思い浮かばず、ピタッとハマった配役だと言えるでしょう。

ただまあ先ほども述べたように次回作がある前提として、壮観なスケールの争いをどう表現するかというのはさておき。殺陣シーンもかなりのクオリティになってきたにも関わらず、なぜこの手の大衆映画は雑な演出が多いんでしょうね。特に意味もなく全体を映すカメラワーク、あれやめてもらえませんかね。ドラマじゃあるまいし、映画なんだからもう少し意図してカメラワークに工夫を施してほしいなと思います。僭越ながら、できないことできるような試みも大事ですが、できることへのさらなるこだわりも持ってほしいなと思います。

(評価:★4)

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