[コメント] 羽織の大将(1960/日)
小さな人情噺として想定外に盛り上がる後半がとてもいい。何より団令子の密やかなロマンスがとても美しい。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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落語ネタでフランキーに小金治なら悪かろうはずがないが、ナルセ流の重厚な撮影と美術が東宝スコープに惜しげもなく投入されており、なんだコメディなのに調子がでないなあと観ていると、終盤これが見事に調子が合うことになる。密やかな音楽がまたとてもいい。
フランキーの増長と没落の物語だけは平凡で残念。彼の変遷にもうひとついい話を加えることができれば傑作だっただろうに。彼の造形は当然のように抜群である。
フランキーに革命後の死を宣告する妹役の原知佐子が印象深く、コメディかと思いきやラストでのデモ行進でフォローする呼吸が素晴らしい。60年安保の年だったのだ。
落ち着いた演技が意外な子金治と、葬式で突然の差配を見せる東郷晴子もいい。若い頃の塩沢ときが拝める余得もある。団令子もまた意外にも無口なのが効いており、フランキーが好きだったのを登場人物は誰も知らないが、観客はみんな知っているのだった。私的ベストショットは鼻ほじってフランキーの高座を聞く団令子。
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