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[コメント] 沖縄 うりずんの雨(2015/日)

沖縄の基地を巡る戦中戦後史。95年の米兵少女暴行事件の犯人へのインタヴューをクライマックスとしている。著名コメンテータの語るニュアンスそのものに興味深いものがある。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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記憶に残るのは次の件。まず日本人の洗脳の在り方について。米兵の証言「一家が捕虜になった民間の男は、頭をピストルで撃ってくれと頼んできた。思想教育が徹底されていた」。読谷村、チビチリガマの集団自決も「捕虜は駄目だ」「米兵にやられるより母の方がいい」との意向が通ったと記憶される。 太田元知事の語る「爆雷隊」の逸話は強烈だった。二十五名の下級生(氏は鉄血勤皇隊に動員されている)が箱に爆弾詰めて戦車に突撃した、記録が残っていない、とのこと。

東京オリンピック聖火が沖縄を通った話。知花昌一は日の丸振って迎えた。軍隊のない日本は理想の国、「本土並復帰」が希望だった。果たされず、運動は「反戦復帰」運動に変わり、日の丸が振られなくなったと語られる。

米軍の性暴力の組織的なモラル欠如が指摘される。沖縄に慰安所は146か所もあったとのこと。95年の12歳少女暴行事件の犯人(3人のうちの1人)の証言が本作のクライマックスだった。「教会に通っていますが、地獄に堕ちると思っています」。

あと、元兵士の証言が生々しかった。「十字砲撃にあった米兵はママーママーと叫びながら転落していった」「火炎放射で焼け死ぬのだけは厭だと仲間と語り合った」「気がついたら周囲に人がいない、上体あげて振り返ったら、右肩を丸太で殴られたようで、あれっと思ったら意識がすーと引いていった」。

何のためにここにいるのだとインタヴューされた米兵が「なんにでも対応できます」と質問をかわす件が印象的。『沖縄列島』の断片が引用されている。タイトルは読まれる反戦詩の一節。

(評価:★4)

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