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[コメント] ドリトル先生 不思議な旅(1967/米)

思い入れがあるとがっかりする映画の典型です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 1967年というのは、特にハリウッド映画界においては、特異な年に当たる。世界的な歴史においてはヴェトナム戦争が泥沼の様相を呈してきたが、この年に『俺たちに明日はない』が投入され、アメリカン・ニューシネマが興ってきたが、同時に時ならぬミュージカルブームも始まった。これが見事な真っ二つに分かれた方向性を示したわけだ。ニューシネマは不安な社会問題を直視し、一方のミュージカルは社会から目をそらすために…前者はある意味、時代が作った作品であるのに対し、後者は明らかに時代を逆行させようと言う映画会社の策略によるものだった。

 結果、売るべくして作られたミュージカルの大半は製作費すら回収できず、低予算で作られたニューシネマの方はどんどん売れていく…

 つまり、1967年〜68年には興行的に失敗したミュージカル作品が山ほど出てくることになるのだが、その中でも代表作と言えば…やっぱり本作?かな?

 ところで「ドリトル先生」と言えば、私にはかなり思い入れがある。小学生の時、読書感想文を書いて町の金賞をもらったことがあったりするが…この作品は全冊繰り返し繰り返し読んでいた。

 それだけにこの作品がどれだけ中途半端に出来ているのかがよく分かってしまう。何せ13冊の内、半分以上の作品からちょっとずつちょっとずつ細切れにして出してくるので、話があっち行ったりこっち行ったり…原作ファンは観てはいけない作品に仕上がってしまった。

 もしこれが舞台劇のミュージカルとして考えるなら、それなりの作品なんだが、映画としての完成度は極めて低いと言うしかない。正直観ていて悲しくなる作品だった。

 …でも、なんでこんなにアカデミーにノミネートされてるんだ?と思ったら、これも20世紀フォックスによる大々的なキャンペーンのお陰だったのだとか…

(評価:★2)

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