コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 大脱獄(1970/米)

ハリー・ストラドリングJr.のカメラワークで驚嘆したカットが一つある。それは最初に護送馬車が、荒野の刑務所に入って行く俯瞰カットで、まるでドローンで撮ったような(しかしドローンでは未来永劫撮れないであろう)素晴らしい移動撮影だ。クレーンなのか、ヘリなのか、いずにれにしても、見事の一語だ。
ゑぎ

 これも40年以上前にテレビ放映された際、見ていたのだが(実は、見た映画の新聞のテレビ欄を切り取って、スクラップブックに貼付していたものが残っていたりする)、主人公カーク・ダグラスが卑怯な男で、嫌な西部劇だ、という記憶しか残っていなかった(当時は正義感溢れる純粋な少年だったのだ)。今回、再見してみると、いやあ、ジョゼフ・L・マンキーウィッツらしい、面白い映画でした!

 まず、最初の強盗シーンの導入部で、消音のために、馬の蹄鉄(というか蹄部)に袋を履かせているのを見て、これは、いちいちキメ細かい、と思ったが、以降も、主要登場人物を紹介する前半部も、その後、刑務所に集まってからも、実にきめ細かな演出が続く。特に刑務所パート、私のような脇役ファンが泣いて喜ぶような豪華なメンツが揃っているが、汚らしさや痛さや狡さを織り交ぜて、全員が見事に演出されているではないか。それは囚人側も、官憲(看守)側も含めてだ。採石場での労働、雨の中の食事、喧嘩、独房、暴動、樽を使った風呂、建設、教会の披露パーティのドタバタ等イベントも豊かだ。そして、ダグラスに対抗する、もう一人のビッグネーム、刑務所長役のヘンリー・フォンダも複雑な人物として端的に造型されている。

 さて、全体に、この製作年代なので、ズーミングを多用するが、基本的に納得できる視点の強制だ。

#脇役を備忘で記載する。

 まずは囚人側。一目置かれている老人キッドはバージェス・メレディスジョン・ランドルフヒューム・クローニンの教会詐欺師コンビは男色家か?最初は一言も喋らないウォーレン・オーツも、流石に別格の扱い。看守側には、アラン・ヘイルJr.ジーン・エバンスヴィクター・フレンチ

 その他、冒頭、強盗に入られる富豪は、アーサー・オコンネル。教会披露宴の来賓で、服を脱がされるセクシー担当はバーバラ・ローデスリー・グラントが、寡婦の役で、終盤、中途半端に登場する。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。