[コメント] 眠れる美女(1968/日)
男の性の哀れを語る本筋も面白いが、重要なのは香山良子の件だろう。時代はこのような小さな決断の積み重ねで変わるのだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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処女性の尊重など馬鹿げている、強姦されて奪われた処女に拘るのは馬鹿げている、といういま見れば当たり前の見解だが当時は違ったと邦画ファンは知っている訳で、この変換点の記録は重要だろう。
北沢彪は「女ははじめての男についていくものさ」と語る。この伝説は邦画百年を支配しているものがあるのだ。親父の田村高廣は亭主になる男が「かわいそう」とも語る。香山はそれは何ほどのことでもないのだと明快に否定する。結婚相手もそれを承知で承諾するのだった。
「老いの絶望に耐えられなくなるとあそこへ行くんです」なる本筋については、そういうものなんだろうかという感想。ベストショットは階段が遺体を転げ落とす初井言栄。この中居と妻の山岡久乃が瓜二つなのは意図的な配役と見える。田村の年齢往還は無理がないのがさすが。「老人は死の隣人です」「それがよいところです」。石仏と波寄せる夜の海、なんてのはありがち。殿山泰司が「信用できるお客さん」というのが笑える。大船駅が出てくる。
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