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[コメント] 人魚の眠る家(2018/日)

原作既読。臓器提供に承諾をしないと脳死判定を行わない、という日本の臓器移植法に物申している本作。原作の核はここ。本作では意外にあっさり表現されていて拍子抜け。また、原作では奇妙なロボット的に描かれている娘・瑞穂をどのように表現するのだろうと不安だったが杞憂に終わった。その点は高評価。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







瑞穂がプールで溺れた理由が「落とした玩具の指輪を拾うため」だったり、「薫子に見せたい景色がある(それは瑞穂の描いた絵であるが)」と生前に伝えていたりと随所に原作にはないエピソードで物語を補完している点は好感が持てた。

ただ、本作の一番のテーマである脳死判定に関する説明はあっさり。

娘の瑞穂は「脳死のようだ」→死んでいるのであれば「臓器提供をしよう」→「脳死判定を受ける」→娘の指が動いて薫子が臓器提供を拒む→(従って、ほぼほぼ脳死だろうという中途半端なポジションに置かれる瑞穂=この部分の説明が本作では足りていない気がした)→生きている、また目を覚ましてくれると信じて、瑞穂にいろいろと機械を取り付けていく薫子→周囲がドン引きしていく→「瑞穂はもう死んでいるんだよ」との声→娘を殺そうとする→「娘はもう死んでるんだったら私が今、包丁で刺し殺しても殺人罪にはならないんですかっ! 殺人罪になるというのなら瑞穂はまだ生きているってことじゃないですかっ!」の流れゆえに、なぜ瑞穂が生きているか死んでいるか(脳科学・医学的に、ではなく、「法的に」)明確でない点は丁寧に説明した方が良いと思われる。

ちなみに法的には、脳死判定を受けていない間は生きてることになるので殺人罪です。当然、医師・看護師等医療従事者が生命維持装置等を外すことも両親の同意を得なければ殺人罪になります。

あと、個人的には薫子の役は篠原涼子よりも母性と狂気を孕んだ芝居がうまそうな松嶋菜々子・常盤貴子・宮沢りえ・深津絵里・菅野美穂・松たか子・国仲涼子辺りの方が適役だったと思う。

僕は小説を読みながら常盤貴子を想像していたので、多少の違和感を拭い去れなかった。これはあくまで個人的に、だけれど。

(評価:★4)

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