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[コメント] 街の野獣(1950/英)

実はロンドンが舞台でリチャード・ウィドマークジーン・ティアニーっていうのは少々違和感が有り「これがNYだったらなぁ」とずっと思いながら見ていた。ま、これは詮無い無いものねだりというもので、本作の街の描き方、機能のさせ方も見事なもんです。
ゑぎ

 画面はローキー、仰角、縦構図のオンパレード。特に数人の人物を縦構図に配置しパンフォーカスで抜く画面が何度も出てくる。これは少々うっとうしい。また仰角なので天井もよく映る。こういうのを見ると私なんかは『市民ケーン』の影響かな、と思ってしまう。

 演技陣だと勿論ウィドマークは素晴らしいが、興行主の大物を演じるハーバート・ロムがいい。クールで実にかっこいい。そしてその父親役の元レスラーがスタニスラウス・ズビスコという人で、正直この人が凄い。The Stranglerというレスラーをやっているマイク・マズルキとの死闘がやはり本作の一番の見せ場。グレコローマンスタイルへの誇りと矜持が胸を打つ。このシーンがあるからこそ本作を傑作と呼んで躊躇しない。ただしジーン・ティアニーの出番が少ないのはちょっとがっかり。またティアニーと同じアパートに住む芸術家ヒュー・マーロウの描き方は中途半端。

#ティアニーが酒場で唄うシーンがあるが、IMDbによると吹き替えとのこと。

(評価:★4)

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