記憶が抹消されないループが主人公の精神的成長を促すという設定が、説教臭くなく提示されていてとても気持ちよい映画になっている。

最後、成長譚が因果律に絡め取られるのを拒否するシナリオがよかった。主人公が成長したからループから抜け出せたという設定で終わっていたら、仏教の輪廻転生だし、自力本願だしでまったく現代的な話しにならない。そうじゃないってことで説教臭さがなくて気持ちいい。

ただ、最後のループで、主人公が「前日から」飛躍的に精神的な成長を遂げていることは周囲の人間は誰も知らないわけだから、ルームメイトと誰も見ていないところで乱闘になって相手を殺っちゃったら、正当防衛を周囲に認めさせるのは相当困難なんじゃないのかな。そこのところがあっさりスルーされているところに唯一不満がある。凶器のケーキが一人前しかないので、それを誕生日の人が焼くはずはないってことなんだと思うけど、自分で焼いて味見してみてってルームメイトに食わせたと思われるかもしれないよね。ああ、ケーキを焼くような人間じゃないってことでビッチ設定が活きてくるのか…。書いてて納得してしまった。

あと、主人公は池田エライザに似ている。