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[コメント] 人間の時間(2018/韓国)

鬼才でも異才でも奇才でもなく「狂才」と書かれるようになってしまったキム・ギドクの方舟。不快指数100%。(゚∀゚)キタコレ!!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







公式サイトやポスターですら、とうとう「狂才」と書かれるようになってしまったキム・ギドク。

でも実はここ最近は違っててさ、前作『The NET』(2016年)は北朝鮮、『STOP』(2015年)は福島原発事故、その前の『殺されたミンジュ』(2014年)は韓国国内の民主主義の死滅についてと、ここ数作は具体的な国と政治状況を舞台としていたのです。全然狂ってない。むしろ社会派。ただ、「テーマのためなら細かいことは気にしない」キム・ギドク作品ですから、設定が具体的過ぎると逆に「珍妙」に見えちゃうんですよ。いっそ「架空の国とかSF設定にしたらいいのに」と思っていました。

そしたら来ましたよ。今回はSF。SF?

映画は4章に別れています。「人間」「空間」「時間」「そしてまた人間」というタイトルが出ます。そもそも原題が「Human, Space, Time and Human」なんですよね。 そしてタイトルに書かれたそれぞれが「狂う」のです。 人が狂い、時空が狂い、そしてまた人が・・・。

狂才キム・ギドク本領発揮の寓話。あるいは人類創世譚。旧約聖書。 人は、人を傷つけることでしか生きていけない宿命を背負っているのか。 不快指数100%の超絶基地外映画。楽しいことこの上ない。

ちょうど新型コロナウイルス騒動で、マスクばかりかトイレットペーパーやティッシュペーパーも品切れだった時期なんですが、この映画を観たらそんなの無くても生きていける気になります。てゆーか、せめて焼けよ。

(20.03.21 シネマート新宿にて鑑賞)

(評価:★4)

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