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[コメント] ランボー ラスト・ブラッド(2019/米)

力強いストレートな活劇。方便と云うべき都合の良さについては、私は気にならない。ご都合主義でイヤなのは、映画的に昇華しない場合であって、きちんと画面でもって面白く発展させてくれるのなら、逆に美点になる。大げさに云うならば、ご都合主義こそ映画だ。
ゑぎ

 馬で遭難者救助のボランティアを行う場面から始まり、牧場での、馬の調教を丹念に見せてくれる、という嬉しい前半部を持つ。娘同様のガブリエラ・イヴェット・モンリールと、二人乗馬で牧場を行くカットも綺麗だ。牧場の地下トンネルが、何のために作られたのか、明らかにされないのは「美点」であり、ま、適当に推測するなら、彼には、常に不特定の敵の襲撃に、備えることが「マストな事項」なのだろう、というぐらいだ。ガブリエラが地下トンネルを友人に見せる場面は意外と重要で、彼女のボーイフレンドの存在と、非処女であることを観客に認識させる。中盤の彼女の扱いで、蹂躙されるシーンは僅少だが、観客のある種の心持ちの担保にはなるし、私はよく知らないが、映画製作上のコード(倫理)的なものへの、配慮もあるのかも知れない。

 また、ガブリエラがメキシコのクラブで連れ去られる場面が一切省略され、単に、グラスの中の薬が溶けるカットだけで示されるのは、良い処理だと思う。メキシコで唐突に登場するジャーナリスト役のパス・ベガの使い方は中途半端だが、久しぶりに彼女を見ることができたのは嬉しかった。セクシーシーンは無しだが。

 クライマックスの大虐殺シーンは、日常レベルの感覚なら明らかにやり過ぎだが、この過剰さこそ映画なのだ。これにワクワクすることこそ映画ファンの真っ当な態度だろう。エンドクレジットで若きランボーのフィルムの断片が挿入されるのにも感激する。前半登場させた馬が、活劇的に役立たないのは、ちょっと勿体ないとは思う。

(評価:★3)

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