[コメント] 岸壁の母(1976/日)
息子の戦死を拒み、生存を信じ続ける。女の直感、母の業。賛美一色で厚みを欠く。
母は来ました、今日もまた。もしやもしやにひかされてー。二葉百合子の冒頭の歌唱には心を揺さぶられる。だが映画にはそれほどでもない。陰と陽のコントラストに欠けるのではないか。僕が昔観た別の映画では、母が金網越しに息子の名を呼ぶが、その声に力の無いことに自ら気づき、いたたまれなくなってその場を立ち去る、なんてシーンがあった。こんな描写の方が、母の想いの持つ本来の重さがよく伝わる(と思う)。中村玉緒の芝居も、ただ一生懸命演じてるだけという感じだったし。
一方で、この手の話を語り継ぐことは社会に必要だろう。
スネークフット。チャイナで生きてた息子さんには、母が日本で評判となっている情報も届いていたとか。それでも名乗り出なかったのは何故なのか。そこにこそドラマがあるのではないか。そう思う映画人に、「岸壁母」の裏バージョン、「彼岸息子」をぜひ映画化してほしいと願います。
21/2/20記
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