[コメント] わが闘争(1968/日)
手鎖振り回し蹴りを決めるパン助の佐久間良子by中村登。これぞ松竹ヌーヴェルヴァーグの最終形態。優生学系の時代錯誤が困りもので、松竹はフィルムに注釈を加えるべきだろう。それともこの褪色激しいフィルムはこのまま闇に葬られるのだろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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小屋に捨て置かれ股間から生理の血を流している岩本多代のリアリズムはオーシマ『太陽の墓場』の一断片の趣がある。佐久間曰く、お爺さん(吉田義夫)のスピロヘータ引きついどる、いつ発狂するか判らん、セムシでメッカチの子供が産まれたらどうするの。明治の高橋お伝みたいだが、戦後もそんなだったのだろうか。丁寧な注釈がほしい処である。
吉田日出子はさすがで、自殺せんと路上に寝転ぶ件を見せ場にしている。佐久間が川津祐介突き飛ばそうとするプラットフォームの件もワイドらしい力感があっていい。童貞狩りなどやり過ぎだろうが、自伝小説という処で無理矢理了解させられる物語。原作者は佐久間とはまるでタイプが違う人なのだろう。お疲れのことと存じますが私も、と心中前に云い寄る入川保則には客席大笑い。300万円使い切りに芸者遊びしか思いつかない加賀まりこは哀れだった。
五体満足の赤ん坊が産まれて万歳のラストは、この家族の気持ちは判るが、メジャー映画としては障害児に配慮を欠くだろう。日蓮宗の団扇第子叩いて祈り、天皇陛下万歳、安来節踊って歓喜を爆発させる桑山正一と野村昭子に、本邦の原風景を見る思いがする。石坂浩二はOPに「専属第一回」とある。
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