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[コメント] 雪之丞変化(総集篇)(1935/日)

3作の総集編につき大雑把は仕方ないが、編集の方向は下世話な処で興味深い。松竹からしたら引き抜かれた林長二郎を大切にした編集とは思われず魅力不足。一方伏見直江は無茶苦茶面白く、高堂国典も全盛期の魅力に溢れている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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千早晶子は2カットしか登場しないというのも片寄り過ぎだろう。

撮影は安定しているが、人物から人物へのパンの連発と、殺陣の早回しは物珍しくもあるが古臭い。捨てられた技法だろう。冒頭の両親の亡霊のグルグルはサイレント仕様。火事の描写はとてもいい。手前と向こうで同時に上がる火の手、巻き上がる黒煙の重量感。演劇小屋の空間把握も良好。あと、座敷で暗くなっても蝋燭が届くまでじっとしているショットが面白かった。あれ、届ける俳優が出て行くタイミングを間違えたのだろうか。

「恨みを晴らせよ」「父御(ててご)のお引き合わせ」「役者風情に身を落とし」。復讐譚なのだが、雪之丞が自ら手を下さず悪役が自滅する(自ら仕掛けた釣り天井の下敷きになる高堂とか)処に倫理観が感じられる。伏見の「その手は桑名の焼き蛤」なんて啖呵が愉しい。OPに1952とある。

(評価:★3)

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