[コメント] 栄光(1926/米)
北京、フィリピン、フランスと場面が変わる映画だが、主な舞台はフランス。北京とフィリピンは、ヴィクター・マクラグレンとエドマンド・ロウ(共に米軍軍曹)の女をめぐるライバル争い(マクラグレンがロウに負ける結果)が描かれる、あくまでも導入部だ。
しかし、この導入部が実にいい。特に北京の女は、脚カットから登場する、マクラグレンは靴下留めをプレゼントする、といった細部だとか、2階の窓と通りを使ったダイナミックなカット割りなんかにも唸ってしまう。
フランスへ舞台が移ると、マクラグレンは中尉に昇進しており、酒場女のドロレス・デル・リオと出会う。また、デル・リオの登場カットは、酒場で樽を転がしている後ろ姿、つまり尻と脚のカットだ。マクラグレンは、度々彼女を抱き上げて、椅子やカウンターに置く(座らせる)所作を繰り返すので、やはり、デル・リオの脚が強調されることになる。こゝに、ロウ(いまだ軍曹)が出現し、デル・リオの、マクラグレンからロウへの心移りが端的に示される。このときのロウとデル・リオの視線の演出も素晴らしい。お互いに鍵穴から相手をうかがう、二連打の鍵穴ショットにも驚嘆させられた。
という訳で、後半の戦場描写よりも、中盤までの、三人のスターが三角関係を形成する部分迄が良いと思う。最初の前線のシーンでは、野戦砲や塹壕と共に、兵士のヘルメット、銃剣への寄り気味のカット等、切り取り方は、現代的なセンスを感じるし、ラスト近く、クライマックスの市街地爆撃シーンは、当時としては(いや今見ても)驚異的な迫力だと思うのだが(あるいは、メッセージ性と云ってもいいが)、それでも、ホークス『港々に女あり』へ継承されたに違いない、男女のメロドラマ、というか、スポーツのような身体の躍動が輝かしい。
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