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[コメント] 知られぬ人(1927/米)

これは非常に面白い中編だ(55分を超えるので、規定上は長編)。舞台はマドリードのサーカス団。主人公は両腕が無い芸人のロン・チェイニーで、足で銃を撃ち、ナイフを投げる。
ゑぎ

 日常生活では、煙草に火をつけたり、ギターを弾いたり、なんてことも足だけでやり、面白い画面になる。いつもコージョという名の小男と一緒にいるのだが、このコージョの意地悪さと気持ち悪さもいい。

 ヒロインは、団長の娘のジョーン・クロフォード。なぜか、男性一般の腕が怖い、という設定なので、チェイニーと仲がいいのだ。若きクロフォードの目力の強いこと。また露出の多い衣装で、明らかにセックス・シンボルとしての扱いだ。こゝに、クロフォードに恋心を抱く怪力男・ノーマン・ケリーが絡んで三角関係が描かれる(というか、さらに殺人と隠蔽工作を含んだスッゴイ変態な展開になるのだが、長くなるし、ネタバレと思われるので割愛する)。

 2人の人物の会話シーンは、はっきりした切り返し(ショット/リバースショット)で繋ぐ。ラスト近く、3人で大笑いするシーンは、2人の画面と1人の画面の切り返しだ。川岸の公園のシーンでは、印象的なディゾルブ繋ぎのポン寄りがある。また、ラストのショーの始まりで、ケリーに寄っていく移動撮影が目を引く。高い台の上のクロフォードと、ケリーの俯瞰仰角の切り返しも見事。といったことで、しっかりと設計された画面造型だ。そして、何と云っても、白馬のルームランナーはちょっと他でも見たことがない(私は寡聞にして知りません)、恐るべきスペクタクル。『怪物團』を予期させる、ブラウニングの傑作サイレント映画。

(評価:★4)

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