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[コメント] ボヤンシー 眼差しの向こうに(2019/豪)

劇中、登場人物の名前が呼ばれることは一切なかった。もはや名前さえ必要ない、言うとおりに働き、従っていればいい、できなくなればポイして交換するだけ。奴隷という言葉さえ高尚に感じられるほどの残酷な世界に衝撃を受ける。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







わずか14歳の少年の身に降りかかった厄災と、過酷な運命には、ただただ傍観するしかない。最後、故郷に向かった少年は懐かしいはずの風景を前にして、果たしてどこへ向かっていったのだろうか。

また、何より本作にはスクリーンに集中させるだけの力がある。それは優れたカメラワークによるところが大きいと思う。余計なものは映さない、しかし何が起きているのか、いま、どういう状況になっているのか、必要な情報は適確に伝える、素晴らしい画づくりがされていると思う。

観終わって、どよーんとした、くそ重たい気分にさせられる映画ではあるが、ずしりとした見応えもある一本だった。観て良かったと言える。

あと、敢えて言うが、邦題にある日本語の副題はまったく見当はずれ。ない方が良い。

(評価:★4)

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