[コメント] ようこそ映画音響の世界へ(2019/米)
映画音響の「歴史」が、クリエイターの「意志」と技術の「進化」という鍵を使って説かれるのだが、その前提に「分野(種類)」という視点が加味される。音響デザイナーによる監督作ならではの着眼だろう。手際よく丁寧にまとめられ、かつ楽しい音響史の参考書だ。
映画音響の「歴史」が、クリエイターの「意志」と技術の「進化」という鍵を使って説かれるのだが、その前提に音響の「分野(種類)」という視点が加味される。音響デザイナーによる監督作ならではの着眼だろう。映画音響史の参考書として、とても手際よく丁寧にまとめられ、かつ楽しい。
サイレント時代に、劇場で上映しながらその場でアフレコしていた時期があったとは知らなかった。日本の活動弁士と似ていながら、その発想の根本的な違いが面白い。西欧のギリシャ劇からオペラへと続く「役者芸」と、日本の落語や講談のような「語り芸」という文化史の違いのようだ。
素材として挙げ有れるどの作品も「音」の記憶が強く残っていいる納得作ばかりだ。『プライベート・ライアン』や『ROMA/ローマ』の短い感想文でも私は「音」について書いた記憶がある。背後で響き始めたヘリコプターの羽根の回転音がゆっくりと頭上を旋回し、やがて轟音とともにその機体が眼前のスクリーンの上部から姿を現した(フレームインしてきた)ときの驚き。あの『地獄の黙示録』のファーストシーンの5.1ch体験の興奮は、今でも鮮明に思い出せる。映画館は新宿文化だった。
本格トーキー第一回作とされる『ジャズ・シンガー』(27)は、まだ未見です。いつか映画館で観てみたいです。
※私も、あの唐突なハリウッド版「働き方改革」への言及は場違いで無粋だと思いました。
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