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[コメント] ソ連人工衛星 宇宙征服(1957/露)

眠っていた向学心を起こしてくれる学研の科学と学習の世界、実に愉しい文部省選定映画。アニメ使った解説にラング『月世界の女』の影響が見えると思う。『2001年』に影響を与えたのは月ロケットの船外作業の描写などだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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人工衛星成功までが事実、以降はリアルなSF。円速度、三段ロケット、宇宙速度、八の字描いた月への航路のアニメでの説明(この辺りラングの『月世界の女』に類似箇所があったと思う)。ツヨロコフスキーという科学者が称賛される。ロケット打ち上げ実験の映像はリアルなのか再現なのか、これ、子供の頃観たような記憶がある。研究者が事故で何人も亡くなっていると報告されている。

人工衛星打ち上げまでが事実。そして「将来は」と続けられる宇宙旅行の描写。ベッドに寝ている大気圏突入もラング作と一緒だ。検疫もなくボードで颯爽と帰還するのはなんかすごい。ロケットが林立して発射されて宇宙ステーション建設、円環の部分がゆっくり回っているのは「重力を起こすため」というのを私は初めて知って大いに得心した。天気予報が正確になり植物実験が盛んになるというのがリアル。

月着陸は「宇宙征服の足掛かり」というフレーズが弱ったものだが、月面着陸で国旗も立てずに喜んでいて終わり、というのはとてもいい。月面への星条旗はホント余計だったと思う。宇宙間競争が叫ばれたのは本作製作の最中なのか後なのか。本作でソ連は、情報秘匿のイメージと裏腹に、科学情報を惜しげもなく放出しているように見える。

ナレーションは日本語。モノクロで鑑賞したがカラーもあるらしい。新東宝特集で鑑賞。

(評価:★4)

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