[コメント] 藍より青く(1973/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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清純派でプッシュするための嘘だろう。会社が違う、などという云い訳は許さん。
昭和19年1月から始まり、兵学校生と漁師が冬の海で水泳合戦をするのだが、これがいかにも撮れていない。アップアップの撮影でどうしちまったんだろうと寂しくなる。以降はこの小さな港の四季が美しく撮られていて、松坂と大和田伸也の逢引きなど美しくて好感度高いのだが、アクションは駄目だった。なぜだろう(なお、戦前なのに漁港がコンクリで整備され過ぎに見えるが、小さなことである)。
半年後の甲種合格から徴兵前の結婚を巡るシリアスドラマになる。死ぬのが判っているのに結婚なんてと躊躇する大和田(輸送船は米軍に沈没させられる、という噂が町にあるのがリアルだった)に対し、私も苦しみたいのよと涙目の松坂。判った結婚と校長で父の三國連太郎に申し込みに行くとゴニョゴニョ云われて、大和田は納得できず「何か判らんが先生の理屈はおかしか」と怒鳴る。ここが一番面白かった。
大和田の云う通りで、本作の欠点は三國が何云っているのか釈然としない処だ。途中で結婚させるか、という気持ちになったのか、今度は婿取りの養子ならOKと云って、網元で大和田の母の赤木春恵を激怒させる。話も終盤になってお家断絶の話が出てくるのはいかにもトロい。あとはふたりが適当に結ばれるのを待つばかりの終盤となった。
『野良犬』と『街の灯』の間に撮る必然性はなく、テレビドラマのお仕着せ企画に違いない。郵便局長の財津一郎の貯蓄募集紙芝居みたいなコメディは殆ど生かされないのも森崎映画として調子が出ない処だったのではないか。漁業長の田中邦衛が三國の元に結婚の「仲立ち」だと申込に行く風習は興味深く、外の風呂場と風呂入る漁師の蟹江敬三はチンチンが一瞬見えた気がした。
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