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[コメント] 十二単衣を着た悪魔(2019/日)

いろいろ公開前に問題がありましたが、無事公開されてよかったです。主演の伊藤健太郎よりも、女御を演じた三吉彩花が頑張ってました。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いわゆる「タイムスリップもの」であるが、平安時代の源氏物語の中に飛び込んだ主人公は、現代から持ち込んだ「魔術」は、そうそうにネタ切れになり、あとは「筋書きを知ってる」ことのみが存在意義となる。そして「コンプレックスの塊」として、物語をこじらせる。

そうなると、弘徽殿女御(こきでんのにょうご)が話を動かす役目となる。この女御は、源氏物語絵巻の中では「敵役」であり、嫉妬深い憎まれ役として登場することが多いみたいだ。演じた三吉彩花は、一人で映画を支えていた印象です。ただ、やっぱりもう少し「歳上」の女優さんが演じたほうがいいんだろうと思う。アラフォーぐらい(小池栄子とか)が適齢だと思う。命令口調がサマになる。

で、この内館牧子さんの原作も映画も、光源氏の側ではなく、弘徽殿女御と東宮の側から描くことで、今までと違った視点で源氏物語を楽しめるというものだ。「嫉妬深い」のも、「愛されない寂しさの裏返し」であり、帝は我が息子の東宮ではなく、二宮である光源氏を溺愛することへの危機感の現れである。

もとは「プラダを着た悪魔」をヒントにして原作ができた、と聞いたが、「プラダ」と違って、主人公が女御に困らされるということは、ほとんどない。キャリアウーマンか、女性政治家のように、時代を先取りしていた、そんなかっこいい女、という印象だ。

しかし、光源氏が全然光っていない(汗)のは仕方がないのかな。で、劇中にラブシーンがあって、光源氏のシーンなんだけど、「がっつく若者」感満載で、ちょっとがっかり。もう少しスローテンポにして、優しく官能的に魅せるか、あるいは逆にあっさりでもいい。「押し倒して、フレームアウト」でも。その辺は監督の技量?なのかな。女優監督の黒木瞳、ラブシーンを演じられても、撮るほうはまだ改善の余地があります。

伊藤沙莉ちゃんは「不器量」という役どころみたいだが、かわいいよ。

(評価:★3)

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