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[コメント] 魔女 女だけで(2009/仏=伊)

オデッセウスを巡る魔女キルケ―と女神レウコテアーの対話で、森の中でそれぞれ不自然に岩に乗ってキャメラ目線のユーモラスな画。饒舌な魔女と寡黙な女神の対比がまた意味深なユーモア。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







パヴェーゼ「レウコとの対話」の一篇「魔女」が原作。殆どがキルケ―の喋くり。「オデュッセイアー」の通りの回想。魔女キルケ―は自分の島に到着したオデュッセウスの乗組員を豚にしたが、オデュッセウスには魔法は効かなかった。オルフェウスはキルケーを支配したが、彼もまたキルケの魅力の虜となり、三年間、キルケの島に留まった。

首輪がすごいキルケ―の饒舌。「彼は豚になるのを拒んだ」「獣は記憶を持たないから永遠に近い」「宿命を知る私たちの微笑み」「豚に変えても人のつもりの連中」(とは実際は豚になっていたということか)「オデュッセウスは人で唯一、神と寝た」。

深紅の女神レウコテアーはセイレーンのひとりで、オデッセウスが立ち向かう次の受難。彼女がほどんと発言しないのは、次に起こることを知っていて含み笑いしているように見える。キルケ―の饒舌に対しても、オデュッセウスに対しても。

森は湿気て水っぽいのだが、途中から光が画面半分、キルケ―の方だけ照らされレウコテアーの半分は暗がりのまま。最後は人気のない湿気た森、小川の流れ、木漏れ日、小鳥が鳴く。ユーモラスな音楽はベートーヴェン「ディアベッリの主題による33の変奏曲」らしい。OPでここでも黒画面で流れ続けるが、EDでは流れない。

(評価:★4)

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