[コメント] コルネイユ=ブレヒト(2009/仏)
更なるヴァージョンアップのミニマム化が図られ、ついに朗読者は現地も訪れずアパートで原稿読む。もちろんコスプレなし、しかも驚異の3バージョン連発でさすがに疲労。ラッカラス! が耳について離れない。撮影も録音もバカテクらしい(深田晃司監督談)。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
副題は「ローマ、私が憎む唯一のもの」。コルネリア・ガイサー(ドイツ語)がまずアパートの逆光の窓辺で朗読するのはピエール・コルネイユの五幕韻文悲劇「オラース」の四幕と五幕からの抜粋で、「ローマを滅ぼせ」激情で連呼される。「最後のローマ人が死ぬのを見たい」。『オトン』からも短い引用がある由。背景の道向こうのアパートの構図が素晴らしい。深田氏も完璧と太鼓判。
続く部屋のなかの赤い椅子に腰かけてブレヒトのラジオ劇「ルクルスの審問」。これも激しいローマ批判。冥界の参審員(漁夫の妻、教師、農奴、パン屋、高級娼婦)に裁かれる将軍。最後の漁夫の妻の回想が記憶に残った。戦死した息子を探して名を呼んだが、同じ名前の死者が余りにも多いものだから母は諦めてしまったと。
編集の異なる3バージョンが続けて上映されるが違いは初見ではほとんど判らない。将軍を「ラッカラス!」と歌うように発声する調子が朗読っぽい。次第に判ってくるのは、ガイサーは何度かお召し替えをするのだが、その度に室内照明が明るくなり暗くなり、これはこれまでの朗読劇の森の光の変化を人工的に再現しているのだということ。なんでそんなことをするのか動機がよく判らないが、ミニマムな人工化の思想によるのだろう。深田監督によると、この変化にもかかわらずバックノイズが変化しない録音はクオリティ高いらしい。
(評価:)
投票
| このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。