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[コメント] アンダードッグ 前編(2020/日)

主人公の森山未來には全くカッコいいところがない。何のためにボクシングを続けているのか分からない。瀧内公美との関係にしても、勝地涼との試合についての身の施しようにしても、何らこだわりが見えない。そんな主人公でいいのか。全然いいのである。
ゑぎ

 本作(前編)の構成を簡単に云うと、前半は、ほゞ森山のシーンで終始し、勝地との試合が決まってからは、北村匠海や瀧内を含めた主要人物の、クロスカッティングになる。この前編では、森山のクズぶりが、他の人物のキャラクターを際立たせているとも云えるだろう。結果的に、ストレートなガッツを発揮する勝地涼が真の主役になる。勝地側の関係者、ロバート山本博冨手麻妙の好演もあいまって、この展開には、かなりの満足感があるのだ。

 さて、ファイトシーンはアクション繋ぎが見事で、私は目を凝らしながら見た。普通に見ている観客にはほとんど繋ぎ目が分からないだろう。勝地涼がダウンから立ち上がるシーンで、漫画みたいな演出もあるが、これはご愛嬌だ。フラッシュバックのシーンだが、森山が仰向けにぶっ倒れた後の横顔のカットで、目が、ガラス玉のように見えるカットがあり、ちょっとこれには吃驚した。撮影はファイトシーン以外でも、例えば夜間に自動車を運転するカットなど、とてもいい。さらに、自動車周りのカットは、カメラの視点のバリエーションも富んでいて、きめ細かに作り込まれていると感じた。例えば、勝地との試合後に、森山が車を運転するカットは、運転席側ドアの外にカメラが設置されており、このカットはとびっきり綺麗だった。

(評価:★4)

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