[コメント] 少年美談 清き心(1925/日)
道徳用の教育映画らしいが、先生のメンツを丸潰れにするとてもアナーキーな教材だ。「安部川の義夫」の劇中劇はサイレントらしいコメディタッチでいい味だが、内田吐夢らしさは発見できない。教育映画だからだろう。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「安部川の義夫」は静岡の安部川に伝わる話。ネットで調べるとやや違う話が出てくるが、本作では商人邦江弘光の落とした三百両を川越しの雲助立花清が見つけて追いかけ、商人は追いはぎと間違えて逃げるドタバタ。梯子に雲助衆が頭突っ込んだり、商人が匿われた家の箪笥に押し込まれると頭が飛び出たりのサイレントコメディ。
この家の借金五両の取り立てがあり、出て行った商人に雲助が三百両を渡してからこの再現ドラマは尻切れトンボになり、商人の主人は雲助に三百両渡したと字幕にあるが、五両の取り立てはどうなったのが(雲助は出してやっただろうか)一抹の不安が残った。そもそも、あんなに水量が少ないのに何が増水なんだろう。
水島道太郎(子供時代は三千男)の優等生を疑って先生の兒島武彦はこの教訓話をしたのに、水島はまるで動じない。どうなんだというサスペンスは結局が先生の目論見違いで、白井寿美子の落としたお金は別に拾われて届けられ、水島は道のゴミ掃除をしていた偉い奴だと判明して映画は終わる。
生徒は堂々と正しいことをしていればよい。オッチョコチョイの大人が何を云っても動じないでよい。微笑みを湛えた理知的な水島少年はそう語るようだ。 ?マーク出す先生の率直な反省はむしろ美しい。このどんでん返しに1点加点。
校庭の真ん中にオルガン据えて児童は輪になって踊るという『カルメン故郷に帰る』のような美しい授業風景が捉えられている。
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