[コメント] 未来は今(1994/英=独=米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
それまで作る作品全てが高い評価を受けていたが、あくまでインディペンデントに徹してきたコーエン兄弟が、かねてから望んでいた作品を、ハリウッド資本で作り上げたメジャー第一作。
かつて“ハリウッドの良心”と言われたキャプラ監督作品の数々は、その多くが多数の監督によってリメイクされているし、リメイクとまで行かなくてもインスパイアされた作品というのは枚挙に暇がないほど。特に好まれるのは『オペラハット』(1936)、『スミス都へ行く』(1939)、『群衆』(1941)、『素晴らしき哉、人生!』(1946)など。本作はその内『オペラハット』を現代風にアレンジしたものだが、他のキャプラ作品(中年の天使やフープに群がる群衆、マスコミの威力などにそれが見られる)や、ホークス作品などにも様々なインスパイアを受けて撮られた作品であることが分かる。そもそもあらゆるものに皮肉な目を持っているコーエン監督がまさかこれに目を付けていたとは意外だが、やっぱり一風変わった作品に仕上げられていた。演出一つ一つがケレン味に溢れ、元ネタを拝借すると言うより、元ネタをどれだけ崩して、同じ作品に出来るのか?と言うことを考え抜いて作られたような作品になっている。この辺流石と言えば流石である。
それで非常に丁寧な作品であることはよく分かるし、私の評価もかなり高いのだが、作品でどうしても受け入れられない所が一点。他でもないニューマンの使い方。この人はどれだけ歳食っても、不良役でいてほしかった。利権を求め、悪知恵働く人物役はどうにも受け入れられない…それを嬉々として演じているのもちょっとなあ。お陰でニューマンの評価を下げてしまったよ。結局この一点で作品自体の評価を下げてしまった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。