[コメント] 鉱 ARAGANE(2015/ボスニア・ヘルツェゴビナ=日)
凄まじい機械の駆動音や警報音。軌道列車に乗った男たちは長い長い時間をかけて地底へ向かう。そこは岩盤に囲まれた決して広くない閉塞空間なのようだ。闇に閉ざされ一切の色が消滅しているので判然としない。そこは非日常的な「硬質さ」に支配された異空間だ。
思考を妨げるように脳みそを揺さぶる耳ざわりな騒音。カタチと色を消失しすべてを拒むように闇に潜む岩盤。そんな視覚では捉えられない非人間的な“硬質な世界”がスクリーンのなかに存在しているかのようだ。
騒音に混じって岩盤に杭を打ち込む男たちの槌音が響き、ヘルメットライトの光跡が闇を切り裂くように交錯し岩盤の姿を一瞬捉える。それは非人間的な“硬質な世界”のなかで格闘する人間の気配だ。そんな格闘のあい間の休息に男は身の危険に合わぬ薄給をぼやいたりもする。
うっすらと雪に包まれた古びた炭鉱の古びたシャワー室で汚れた体を洗い、上等とは言えぬが色とりどりの衣服に着替え、三々五々に控え室に帰還してきた男たちは、日常という今私たちがいる“軟質な世界”へ帰還する。
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