[コメント] 福島は語る(2018/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
〇 避難
片岡氏 有事は逃げろ国は守らぬという戦争体験者の父母の言葉を守って逃げたが、牧師の妻として戻った。自主避難は卑怯と云われる。被災者は痛み比べをしてしまう。草野氏 子供に、お母さん笑ってと云われた。ずっと笑っていなかった。母親の仕事は笑うこと。岡部氏 母子で新潟に逃げたが夫は福島で仕事続ける。夫婦喧嘩。子供の健康は私しか守れない。戻れない。戻れば気を付けることが多すぎる。星氏 人間関係が変わった。家がありローンがあり逃げられない人もいる。避難者は、東京で貴方たちは福島を住めない所と云いふらしているのではないか、という視線を感じる。感情的にいがみ合うような形に持っていかれている。逃げるも戻るも自己責任。すり替えないでほしい。問題の本質が見えず分断させられている。松本氏 自分は娘が鼻血を出したから逃げた(園子温『』が思い出される)。避難者の共同センター勤め。自主避難者は自分を責めている。子供のために避難したのに、反抗期の子から責められる。子供は親にしかものを云えないし。自死した母もいる。鬱になる。通帳にお金がない。
〇 仮設住宅
藤島氏 自治会長で詩人。四畳半、夜ひとり。体が悪いのにベッドも置けない。コンビニ弁当とカップの味噌汁。詩「賠償金はお返ししますから、時間を返してください」。オリンピックとは別の国に住んでいるよう。母から、人を憎んではいけないと教えられてきたけれど、再稼働に何と云えばいい。佐藤氏 酒で紛らわす。寂しいから。負けたくない。自宅で死にたい。補償で酒呑んでいると云われて悔しかった。代わってみろ。東電職員、泊まってみろ。
〇 悲憤
山田氏 荒れ果てた自宅、猪が入った。3月の炬燵が敷き放し。牛の足で机に穴。片づけるにも汚染しているから。渡辺氏 毎月10万の補償は我々の税金だと云われて精神を病んでしまった。今でも悔しい。誰が好きこのんで。頭を下げてしまった。その場を収めるために。読み聞かせボランティアの生きがいも失われた。佐久間氏 川内村は2012年に帰村宣言を出し、補償は打ち切られた。富岡の病院がなくなり透析できない。仮設住まい。みんな年金で暮らしている。死ねって云うみたい。くやしい。この涙を拭こうともしない女性が印象深い。
〇 農業
野口氏 野菜販売。地場のものは安心できない。矛先を間違えないでほしい。怒るのは私たちへじゃない。中村氏 農業直売。受け取ってもらえない。若いお母さんの思いは判る、逆の立場ならそう思う。安全のラインは人それぞれ、統一できないし無理強いはできない。農業が原因みたいな報道には立腹する。作物のセシウム減らす努力はしている。告訴団活動。2017年没。地脇氏 告訴団事務局で、作物の測定始めた。大豆30ベクレル。規制値500ベクレルをクリアしているが、農家さんは、この数字では出荷したくないと云う。けれど私にとっては生きるか死ぬかだとも。測定が辛くなったし、食べるのが苦痛になった。大河原氏 直売所経営。12ベクレルと農業通信に正直に書いたらお客が離れた。後悔はしてない、後で判るより正直がいい。基準より少なくても買ってもらえない。自殺した農家もある。夫で六代目。畑に先祖の婆さんが見えるようなときがある。大切にしたい。
〇 学校
小野田氏 離れた生徒へ学級通信を送り続ける。他校では喧嘩すると放射能とか云ってイジメられる。いい物は補償で買ってもらったと云われる。そんなこと子供が思いつく訳がない。自分の故郷を云えない。自分は4月に伝えるようにしている。3.11は学校で催しがあるから休む。被災した生徒とドライブする。思い出したくない生徒がいる。泣かなくてすんだと生徒は喜ぶ。この陽気な先生も忘れ難い。大熊中の校長 スクールバスで27人だけの生徒。事故前は200人規模。大人の苦労を見ているから我儘いう生徒がいない。賢い女生徒のインタヴュー、大人になって帰れるとは思わないけど、何かしたい。幼稚園、小学校との合同運動会。卒業式。
〇 原発労働者
矢代氏 5次下請労働の経験。一日15,500円、協力金引いて12,000円。今はピンハネされて係争中。/池田氏 彼も下請労働。ふたりの話。除染はフレコンパックに草と表土を入れていく。草を刈り、熊手で表面5センチを掻き取る。しかし工期を守るため草刈だけでいいと指導もされた。屋根は紙タオル使って手でふき取り。一時的に線量下がるが雨が降ると元に戻る。22~23マイクロシーベルト。原発でも働いた。タイベック着てゴミ分別。建屋にも近づいた。他社職員が鉛のベスト着ているのに普通のタイベックで行かされた。アラーム持たされ、5分で鳴る。鳴るとその日の仕事は終了。一か月で1~2ミリシーベルト。控室で作業員の雑談で情報交わされる。月20数万になる。地元の若い人が多い。しかし自分のためになる仕事をするべきだった。ゼネコン、大手建設、元請けがビジネスにしている。ロボット開発投資もある。現場で2人死んだ。現場目線などない。
〇 汚染
今野寿美雄氏 放射線管理手帳見せてくれる。通帳のように線量が記載されている。自宅は原発から10キロ、家の中は2マイクロシーベルト。ICRPは1~20ミリシーベルト/年。5ミリシーベルトで白血病の原因と認定される。一般人にも20はおかしい。線量が下げられないための措置に他ならない。山澤洋一氏 放射性プルーム(雲)の落下した現場を案内。10マイクロシーベルト/時。線量計を地面に下げるとメーターがOVERを示す。阿武隈川ほかにも流入した。雑草の形が変形している。土救ってガンマ線測る。247万ベクレル。4万ベクレル以上は管理区域と定められているのに。セシウムはすでに沈んでいる。5センチ除染では駄目だし、草しか刈っていない。今野氏再登場して、800万ベクレルで解除された、壮大なるモルモット実験場ですよ、という発言で第二部が終わり、3.11の10周年、満席の客席はどよめいた。
〇 二つの原発事故
若松丈太郎氏 南相馬の詩人。94年にチェルノブイリ訪問し、詩集を編んだ。4万5千人が消えた。30キロ圏内。福島で云えば、と記す。予言的中というほどではない、当時から事故はたくさんあったんだ。東京で原発をすればいい。「けっこういい生活ができますよ」場内大笑い。20ミリシーベルトの基準値改悪は棄民。知的なお爺さん。
〇 構造と抵抗
武藤類子氏 本作製作。貧しい人が働いている構造的暴力がある。福島は原発反対の人が殆どなのに選挙になると自民党を選ぶ。お上には逆らえない。まず国家がある。民はそこから操るもの。国は個々人を助けない。沖縄では金城実氏に教えられた、国を相手にケンカしても勝てる訳がないが、するのが尊厳だ。村田弘氏 強制避難。元果樹園は12万ベクレル(4万で管理区域)。元新聞記者。水俣取材の経験。国の、民への対応は変わっていない。まず隠す。次に誤魔化す。御用学者も入れる。次に矮小化する。国家無謬の思想がある。国の産業政策だから我慢しなさいとくる。佐藤知良氏 元市議、告訴団。戦中の国家総動員体制は戦後復興の基盤だった。何も変わっていない。告訴団事務局の地脇氏再登場 2012年に福島でIAEA会議。玄葉議員、謝罪しない。腹立った。安全な原発推進、復興のパネル展示、途上国へ原発売込みのブースまであった。リスク・コミュニケーション、原発は安全という伝え方が話し合われた。村田氏再登場s ゲンパツ村とは別に、世界的な推進ネットワークがある。IAEA。原子力推進が理念。当事者が立ち上がるしかない。沖縄が判るようになった。佐藤氏再登場 原子力マフィアだ。軍需産業と一体的。福島の環境創造センターでの学習の模様が映される。官僚がネットワーク動かしている。その大本はIAEAでありICRPだと思う。
〇 喪失
杉下氏 石材業興したが被災。跡継ぎ息子を事故後の鬱で亡くした辛い告白。映画はここに力を入れている。
〇 故郷
数名が再登場し、武藤氏作詞のフォークが流れる。
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