[コメント] 20世紀アワー 大東亜戦争(1968/日)
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前編。東条英機がやたらと登場して語りかける。ハワイ開戦「自衛の止むなきに至った」。12月13日日比谷公園で国民大会「赫々たる戦果」。マレー上陸ジョホーバル、山下奉文のイエスかノーか。2月15日に英国は白旗上げ、2月18日宮城前、赤子集まり大君が白馬に乗って遠く二重橋に登場、赤子たち万歳。この画ははじめて観た。また東条が日比谷で演説し、アドバルーンと市中パレード。
ビルマはセレベス島に落下傘部隊、劇伴はワグナー、「住民は歓呼して皇軍を迎える」住民がカメラ意識しているのが面白い。ヤラセなんだろう。バターン完全制覇。東京空襲、4月30日の「翼賛選挙」(と云っている)、東条語る。6月5日ミッドウェイ海戦「肉を切らせて骨を切った」とのアナウンスが堂々残されている。大東亜文学大会には中国、満州の代表が登壇し、佐々木信綱が詩を朗読、アジア文学の宣言が満場一致。2月7日ガ島「転進」のアナウンス。場内笑い。6月5日山本五十六葬式、「深き哀悼」「我ら同胞のハラワタを抉る」などどいうグロな表現が流され、大八車で遺体が曳かれて東条が祈る。
後半、5月29日アッツ玉砕。ビルマで建国議会、チャンドラ・ボーズもいる。日タイ条約調印、フィリピン独立宣言。11月6日に東条は大東亜宣言。「アジア開放の礎石」。学徒出陣。東条祝辞、学生代表が答辞、海ゆかば合唱。19年3月8日インパール作戦。8月上旬に「戦線整理」と云われる。少年兵志願者大会で天皇陛下バンザイ。
1月23日戦力増産大会、女子工員の行進する様は『一番美しく』と同じである。疎開は隣組で。南瓜をつくりませう。戦時農園の立て札、決戦農園、公園農場。サイパン島、米軍側の上陸映像交えて「多大の損害を与えつつあり」。「つつあり」ってのがすごい表現だなあ。有名な崖下への飛び降り自殺のフィルム。八幡様に米英撃滅を小学生祈る。7月東条辞職。米側フィルム、マッカーサーのレイテ上陸が鮮やかに撮られている。日比谷の国民大会は講堂で小磯首相。
カミカゼ特攻隊。これが一番驚いたのだが、出撃の様子を全部記録しているのだ。映画でよくあるように、飛行場で別れの盃が交わされ、「いまは敵艦にただ体当たり」と句が詠まれ、海ゆかばが再生機から流れてみんな手を振るなか出撃。こんな映像があるだろうか。彼らはいまから死ぬのだ。見世物じゃないんだぞと思わざるを得なかった。ニュース映画は国民にこれを感動せよと押しつけ消費させたのだろうか。ひどい話である。
11月24日空襲始まる。子供の工員が増産の闘いだと日の丸鉢巻き。硫黄島で栗林「誠に恐懼に絶えず」。玉砕。疎開風景「今日も僕たちは元気です」とガッツポーズ。明治神宮消失。沖縄上陸。ポツダム宣言「帝国政府黙殺」。新型爆弾「被害は比較的僅少」何と比較したのだろう。聖断下る。「ああ我らの力至らず」。土下座の人々を映す。終戦の詔書流れる。日本人死者251万人という字幕。これは当時の数字なんだろうか。
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