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[コメント] 浅草紅団(1952/日)

原作は同じ川端でも、戦前浅草の裏社会を描いて有名な「浅草紅団」ではなく、女剣劇紅座の紅竜子京マチ子が主人公の「浅草物語」。こんなのは騙しではないのだろうか。しかし女剣劇の舞台はどれも素敵。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作の原作は川端康成「浅草物語」(1950)とタイトルロールにある。有名な長編小説「浅草紅団」(1930)が原作ではないらしい(どちらも未読で未確認)。筋書によれば小説「紅団」は不良少年少女集団であるが、本作の紅団は京マチ子所属の劇団以上の何ものでもない。ややこしいことに島耕二監督の『浅草物語』(53)は同じ作者の「「浅草紅団」「虹」など諸短編を折衷」した作品の由。

本作の物語はヤクザの親分岡譲司京マチ子は育てられ、岡に乙羽信子は借金し、岡に乙羽の恋人根上淳は狙われていて、いろいろあって京と乙羽は姉妹と判明(お父っあんの引き合わせだという河村黎吉のフォロー)し、みたいな実にどうでもいいようなもの。

私のお目当てのひとつは浅草の当時の風景だったが、残念ながら余りない。一年ぶりに浅草に戻った根上が瓢箪池はどうなったと尋ね、乙羽がもう埋め立てが始まったわと応える件があるのだが、それが映される訳でもない。ただ、根上が逃亡の最中にビルの屋上に立ち、彼の主観で町の風景がパンニングされるショットはある(入口で料金を支払って双眼鏡を覗くスタイル)。判る人には、この埋立て中の池が映っていたのが確認できたかも知れない。あとは花屋敷がちょっと映る。ここは今と変わらない。浅草六区のビル群は二三度映され、ゲイリー・クーパー『暁の討伐隊』の幕が冒頭に見える。あとは地下鉄、京が岡の手下として、田舎娘に変装して根上を浅草に連れて行こうとする愉しい件。別の駅(どこだろう)の入口と構内、浅草駅の出口が映る。

という処で、見処はもっぱら舞台。紅座の紅竜子を演じる京マチ子の素晴らしさ。冒頭の燃える提灯、終盤のお縄や梯子使った剣舞、番傘での早変わり(編集されているが、大衆演劇は舞台でこれを演るんだろう)、そして正月映画だったのだろう、獅子舞して中からヒョットコのお面かぶって飛び出してさらに踊る愉しさ。彼女の中性的な魅力が全開。

乙羽はアイドル期で3曲歌い、アップ連発でアイドルっぽく撮られていて、うち1曲はフルコーラス記録されている。ストリップ小屋に出演しているから『カルメン純情す』みたいな際どいものかと思いきや唄ってダンスする宝塚風。♪ポッポッポ、私は江戸っ子浅草娘、なる陽気な歌。ただ頻りに胸を揺するポーズをするのがストリップっぽい気がする。当時のストリップの有様はよく判らない。ストリップ小屋の描写は別にある。根上がかぶりつきに座って踊り子さんに揶揄われている。根上のサングラスはチブルスキー風だが『灰とダイヤモンド』はずっと後(1958)の作品。

(評価:★3)

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