[コメント] エノケンの近藤勇(1935/日)
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エノケン二役。冒頭は近藤勇のほうの新選組のチャンバラ、掃除夫にいまからここは掃除すると云われて「おいみんな、あっちでやろう」草野球みたいなものだ。この序盤にはエノケンが敵の前で一回転するすごい殺陣がある。
二村定一の桂小五郎は三條河原でチャンバラして侍ニッポンを唄う。坂本龍馬の方のエノケンは公武合体記念にララバイ・イン・ブルーというジャジーな唄を歌い、襖の向こうの近藤勇のエノケンはこれ聴いて汚らわしいと云って発狂している。「いけないわ、貴女がジャスを唄うなんて」で有名な『米英 撃滅の歌』(45)のジャズ批判が直ちに想起されるが、本作はこの風潮を揶揄っていると見える。高雄光子のお龍さんは竜馬(りゅうまさまと呼んでいる)と英語でアイラブユーディア―とか云って悦んでいる。竜馬はそういうキャラなんだろうか(真逆にして遊んでいるのだろう)。
置時計が時報を告げるギャグがある。「只今お知らせしましたのは九時三十分でございます。なお、台湾と満洲では、八時三十分にお合わせ下さい」。当時のラジオ放送そのままなのだろう。
高下駄履いたら無敵の近藤勇は、高下駄の歯が折れたとき忍者に囲まれる、すると下駄が直ってチャンバラ、アニメの月が振袖に顔を隠すが火花ばかり大量に散り、月が再度眼をやったときには勇は全員退治している。
花島喜世子(エノケン夫人)は男装の二枚目加納惣三郎として登場、如月寛多を斬ったと嘆いて浪曲バックに「SOSひなぎく」の宏川光子と踊って心中。こういうのは当時の浪曲映画のタッチなのだろうか。一方中村是好は女装する訳でもないのになぜか間諜X27と呼ばれている。
続いてボレロがワンタン屋のラッパに重なる、よく判らないがすごいギャグに続いて新選組の突撃、格好いいサンバ風の劇伴で階段落ち付のダンスのようなチャンバラが演じられて適当に終わる。
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