[コメント] 少年の君(2019/中国=香港)
お前が世界を守る道を選ぶなら、俺はお前を守る道を選ぶ、って。こんなこっ恥ずかしい台詞がまっすぐ心に刺さるのは、そこに至るまでの、荒削りにも見える状況描写と、余分な説明会話を廃した抑制のある心理描写で、冷静な作劇に徹したクレバーさにあるのでしょう。
観るまで知らなかったのですがこの映画、どうやら公的機関による若者向けの「いじめ撲滅」が目的のようです。ところがぜんぜん説教臭くない。製作側が意図したかどうか分かりませんが、良い意味で啓蒙映画の定型が壊れてしまって、稀にみるピュアな青春純愛映画になってます。
ヒロイン役のチョウ・ドンユイは、撮影当時おそらく26か27歳なのですが高校生どころか中学生に見えます。作中、ほどんど感情を表に出さない能面顔が、逆に彼女の心中を雄弁に伝えて素晴らしく、クライマックスの感情の爆発がとても切ない。
相手役のジャクソン・イーは、ずいんぶんイケメンだなと思っていたら中国のアイドルグループのメンバーで20歳だそうだ。さしずめ日本でいえば、若い子たちの客寄せ用に起用されたジャニーズの“誰かさん”といったところでしょうか。ヒロイン役との逆転年齢差にもびっくりです。
邦題の「少年の君」って何のことだが意味がよくわからない。古臭いとか、泥臭いとか言われようが、やっぱり邦題は「傷だらけのくちづけ」でしょうよ。
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