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[コメント] トムボーイ(2011/仏)

ファーストカットは、主人公ロール(ミカエル)の後頭部。背景に街路樹が動いていく。走る車のサンルーフから半身を出しているのか?お父さんが運転する。お父さんは、安全のために足を持っている。
ゑぎ

 結局、自動車は、オープンカーだったのか、サンルーフの屋根付きだったのか、よく分からない。ハンドル操作するカットの雰囲気から、サンルーフだったんだろう。以降、この自動車は一度も出てこない。このように、必要十分な画面しか用意しない(親切丁寧な描き込みをする気はない)、というスタンスだ。

 基本、1台カメラだろう。ドキュメンタリータッチの客観描写で人物を画面におさめている。ただし、森で遊ぶ子供たちのシーン(赤い布をどっちが拾うか、というルールのよく分からないゲーム)では、レールを敷いたと思しき、素早い横移動のカットもある。

 小さな妹、ジャンヌが可愛い。夕食のシーンの、「ミカエルという名の友だちに仲よくしてもらった」と言い、笑う場面は、かしこ過ぎて作りもの臭い、と思いながらも、利発な子供なら、これぐらい云いそう、と納得してしまうギリギリの線だ。

 終盤のお母さんの対応は、気持ちも分かるが、もう少し別のやり方もあるだろう、と思ってしまう。このあたりもギリギリだが、こゝは、私には、それほど重要じゃなく、むしろ、森の中で、ティルトアップからパンしながら、木の枝や葉を映したうえで、枝にかけた青いワンピースを映す演出が重要だ。こんな、勿体ぶった演出は嫌い(勿体ぶったカメラワークのあとの被写体がこれか、という感覚)。全体に瑞々しく綺麗に見せるし、緊張感も維持するが、『燃ゆる女の肖像』ほどの才気煥発といった感覚は受けない。

(評価:★3)

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