[コメント] 糸あやつり人形劇映画 明治はるあき(1968/日)
糸吊り人形劇自体珍しいので興味深く観られた。明治百年の文化庁企画で愉しめる美術もあるが復古趣味は臭い。話はちょっと美しかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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明治村を人形家族が訪問し、太郎お爺さんが明治を回想する。凌雲閣が望まれる浅草の下町。瓢箪池が再現されている(1951年埋立)らしいのが興味深かった。近所のひと区画が空き地になっており、板の簡易な垣根で囲まれていて、なかが子供らの遊び場になっている、という美術がいい。子供の太郎が夕暮れ時に垣根に肘ついてボーとしている描写に感傷がある。
風俗は新橋停留所や教科書「ヒトガイマス」や鹿鳴館など有名なものが多いが、見世物小屋の件が愉しめた。最後にバラバラになる骸骨の踊りはリュミエール兄弟の映画にもあり、この引用だったか。桶積み上げた上で体躯反らせる女の芸とか、美しき天然かかる玉乗りとか。ああ判らないと道でヴァイオリン弾いて唄う男もありつつ、平壌陥落で提灯行列、乃木将軍が引率して馬車で明治天皇登場という復古趣味に至る。明治百年なんて企画が収斂するのはこんな地点だろう。フランク永井が♪明治は遠くなりにけり と唄う。
物語は近所のいつも子守りしている花ちゃんが引っ越して行く哀愁話。人形の表情が巧みでちょっと美しかった。太郎爺さんは初恋を回想するのだった。昔も今も同じ犬が走っているのがいい。
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